【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
寝ようと思って準備をしていると、ドアがノックされた。
開ければシュテルだ。
「もう寝るところ?」
「そのつもりだったけど」
「ちょっとだけ付き合って」
手を引かれてついていく。連れて行かれたのは屋上だった。天の川が落ちてきそうな夜だ。
シュテルは私に小さな鏡を渡した。夜店で買っていたものだ。
「何?」
「ちょっとした占い。鏡に天の川を映して」
私は言われたように星を映す。
「少しこのままで」
「うん」
黙ってしまうシュテルに緊張した。
好きだとみんなの前では言うけれど、二人きりで言うことはなくなった。それに、あれから変な触れかたはされないから、大丈夫だと信じてる。
なのに気まずくて、ただ空を見上げた。心臓が苦しい。