【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「もう良いよ」
「何の占い?」
尋ねればシュテルは少し悪い顔で笑った。ゾクリとする美しさに震える。
シュテルは私の背中にまわった。そして、鏡を握る手をとって、私を映す。シュテルが映る。シュテルの瞳が小さな星みたいに瞬いた。
「この日の天の川を映した後に、初めて映る自分以外の人間が運命の人なんだって」
耳元で囁かれて、顔が熱くなる。暗くて良かった。耳まで真っ赤なのがバレてしまうところだった。
「……そんなの、ズルだ」
「僕は運命も作るよ」
真剣な声に息を飲む。鏡の中で視線が絡まりあう。
驚いて目を伏せた。
シュテルの手が、鏡から離れる。