【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
27.ザントの夜会
夏休みの残りは、アイスベルクでウォルフと女騎馬隊の訓練をして過ごした。
士官学校に戻る前に、一度タウンハウスへ戻る。
タウンハウスの自室に戻ると、机の上に宛名も差出人もない白い封筒が置いてあった。
不審に思って開けてみて、ぎょっとする。
書き出しが、『マレーネたん すはすは』だったからだ。
送り間違いだろ、っていうか、交換日記の上に手紙とか厚かましくないか? なんて思ったが、私の名前があってゾッとした。
- ベルンちゃんへ 誰にも秘密で一人で来るように 意味は分かるね -
息が止まる。
ザントからの脅迫状だ。
指先が凍える。
相談する? 無視する? でも、だけど……。
ザントの紫の瞳を思い出す。何を考えているか分からない瞳。
お兄様は、信じて良いと言っていたけれど、私はまだ信じられない。
私は手紙をグッと握りしめた。心を決める。
行こう。行って相手の出方次第で、……最悪はぶちのめす、かなぁ?