【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 私は女として社交界デビューをしていなかったから、心が躍る。
 フワフワとした華やかなドレスは、レースがふんだんに使われていて豪華であっても野暮ではない。ハーフアップに結われた髪には、リボンがあしらわれている。
 私が淑女の礼をして見せれば、メイドたちは満足げに頷くいた。

「ご主人様に恥をかかせてはなりませんよ! プッペ」

 私はコクリと頷いた。何だかメイドの気迫にのせられたかもしれない。


 夜会が始まった。私はザントの横に立ち、来場者に挨拶をする。ザントは私を皆に、『土人形のプッペ』と紹介した。ついでに、土人形だから会話は出来ないと付け加える。
 皆新しいオモチャでも見つけたように私を見た。
 特に男達は興味を惹かれるようで、ジロジロと不躾に見られるのが不快だった。

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