【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ベルン、両手に花とはズルいんじゃないかい?」
「ああ、私にはもったいない花たちだと思ってるよ。フェルゼン」
「では、リーリエ嬢、私と一曲踊っていただけませんか?」
フェルゼンが紳士然として、丁寧にダンスを乞う。
お姉様は、柔らかく微笑んでフェルゼンの手を取った。
「よろしくお願いいたします。フェルゼン様」
そういうと二人は、白からカラフルになったダンスの輪の中に入っていった。
燕尾服姿のフェルゼンは、燃える赤い髪が一層に引き立って輪の中でもよく目立つ。フェルゼンのキリリとした強い美しさのおかげで、お姉様の柔らかい可憐さがさらに際立って見えた。とてもお似合いだ。
私はそれを見送ると、自然にほほ笑みが漏れる。
ただ、フェルゼンの中身が軽くなければ完璧なんだけど。