【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 ビックリした。ビックリした。
 女に見せる顔のフェルゼンを初めて見て、驚いた。

 さすがに情熱の騎士といわれるだけある。気が付かなかったと言え、泥人形を口説くなんてどんだけのタラシなんだ。

 バクバクと心臓がなって、指が震える。
 ザントの引き籠り部屋に逃げ帰った。

「どうしたの? ベルンちゃん」

 ザントが不思議そうな顔で私を見た。

「話しちゃった?」
「……一声もだしてない」

 上がる息で答えれば、ザントが眉をしかめた。
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