【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「でも、そこの髪だけ青い」
驚いて鏡を覗き込む。リボンを解かれた一筋の髪が、青く輝いている。ザントの魔力が剥げているのだ。
「うそ、なんで?」
ザントが慌てて私のグローブを剥く。
手の甲にかかれた、薄紫の魔法陣の一部が赤色に変わっていた。
「!」
「こんなこと、初めてだ……」
いつから? 気づかれてた? いや、だとしたらあんなことするわけない。
混乱する頭。
「リボン、盗られちゃったんだ?」
カッと顔が熱くなる。
ザントは少し考えてから、今夜はもう帰った方がいいね、そう言った。