【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
どんな方法を使ったのか分からない。なんでこんなところにいるのかもわからない。聞いていない。
けれど、どんなに髪の色を変えようと、どんなに瞳の色を変えようと、俺が見間違うわけはなかった。アレは、ベルンだ。
見違えるような美しいドレスに包まれて、男に手を引かれていく。
何の疑いも持たずについていく姿は、まるで子供のようで、しまったっと思った。
ベルンは女としての社交界を知らない。
そして、あの男は手が早くて有名な男だった。
俺は慌てて後を追った。
思ったとおり、ベルンは気安く触られていて、俺はカッとなった。
間に入って救い出せば、安心しきった顔で微笑むから。
化粧していても分かる。綺麗な鼻筋に、薄い唇は笑うと可愛い。
触れたい。ずっと触れたいと思っていた。運命の人。