【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
ガッカリしたように言って見せれば、ベルンはホッとしたようにため息を吐き出した。
その姿に胸が痛む。そんな風に安心されたくない。でも、怖がられるのはもっと嫌だ。同じ部屋に居られなくなる。きっと、ベルンはここから去ってしまう。
だから、俺は嘘を重ねる。少しでも長く、隣に居られるように。恋じゃなくてもいい。友情でいい。
「なーんだ。残念だね」
「まったくだ、折角見つけたと思ったのにな」
「またイイ人見つかるよ」
ベルンは屈託なく笑った。
お前以上の女なんて見つかるわけないのに。
俺はポケットに隠したリボンを握りしめた。
「……いねーよ、ばーか」
軽く笑い飛ばして、この想いに蓋をした。