【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「どう? カッコよくない? タンゴはもともと男同士で踊るものだったみたいだしね」
シュテルがにんまりと笑った。
おお! とどよめきが起こる。
その反応を見て、シュテルが満足げに体勢を戻してくれた。耳元で小さく、急にごめんね、なんて囁く。耳が熱くなる。
「いいんじゃね? ペアはどうする?」
「僕はベルンと!」
シュテルが主張すれば、クラスメイト達が呆れたように笑う。
「殿下のベルン好き好き病が始まった」
「俺もベルンがいいぞ」
フェルゼンが不機嫌に言えば、さらに笑いが起こる。
「テンプレか!」
「テンプレだな」
「フェルゼン、たまには譲ってやれよ。最後の剣舞はフェルゼンとベルンなんだからさ」
クラスメイトに言われて、フェルゼンが忌々しそうに唇をへの字に曲げて黙る。