【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ベルンは?」
シュテルが意地悪な目で私をみた。試すような視線だ。
こんなことでもなければ、私は一生シュテルと踊ることはないだろう。そう思えば、自ずと答えは決まっている。
でも、ちょっと悪戯だ。
ご令嬢にダンスを申し込むように、シュテルの手を取った。
「私と踊っていただけますか?」
上目使いでウインクすれば、シュテルが顔を真っ赤にした。
ヒューヒューと口笛がなる。
いつも、やられっぱなしって訳じゃないんだぞ!
「っ!! ベルンが王子さまで酷い!」
シュテルが抗議する。
「王子はお前だろ?」
フェルゼンが呆れたように笑う。
「殿下、諦めてベルンに抱かれろよ」
クラスメイトが囃し立てた。