【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
30.学園祭 2
学園祭二日目は、日ごろの鍛錬の発表になる。
昨日はお忍びでやって来ていたこの北の国の姫が、今日は正式に観覧にやってくると聞いていたので、なんだか胸騒ぎがした。
胸騒ぎの理由が、自分の嫉妬だったらいい。
そう思いながら、私はアイスベルクの女騎兵たちを観覧席に招待していた。無論、武装などしていない丸腰のワンピース姿だ。一度士官学生の鍛錬を見ておくことが勉強になると思ったからだ。
彼女たちは、初めての王都に喜んで飛び切りのオシャレをしてきた。
紅白のチームに分かれて、武術や剣術、乗馬や流鏑馬を競う。そして最後は騎馬戦が行われる。これは模擬試合で、魔法の使用は不可。実際の騎馬に乗り、模造刀で打ち合う。先に紙風船を割られた方が負けだ。
騎士たちが紙風船を頭に乗せて、真剣な顔つきで戦う様子がコミカルで、しかし迫力があり人気だ。裏町では賭け事の対象にもなっているらしい。
シュテルが大将の白組と、フェルゼンが大将の赤組に分かれて戦う。私は赤組だ。互いに接戦を繰り広げたうえで、今年は僅差で白組が勝った。鼻高々なシュテルに、フェルゼンと私は悔しがる。
そして閉会式があり、最後の大取りがフェルゼンと私の剣舞である。