【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
ベルン。大切な言葉が声にならない。
視線の先には、ベルンがいた。
たった一人だけ、鳥に立ち向かう。
何時だって綺麗だと思っていた氷の魔法。
あの鳥は魔物なのか? だったら、立ち上がらなければ。戦わなければ。
理性ではそう思っても動けない。不本意な感覚が体を支配する。
ベルン。名前を呼べない。届かない。ベルン!
その時ベルンが口笛を吹いた。すると観客席から、ワンピース姿の美しい女たちが下りて来た。ベルンの指示で剣を構え、美しい鳥に対峙する。
どうして、動ける?
ベルンとこの女たちだけどうして動けるんだ?
鳥の歌声が鳴り響く頭の中で、考えようとしても考えられない。