【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
フェルゼンの机と並びあったベルンの勉強机。いつも羨ましいと思っていた。二段ベットの上部はベルン。まるで今にも帰ってきそうなほどそのままだ。
ベルンは帰ってくるつもりだったのだ。
だって、全てがそのままになっている。
扉が乱暴に開かれた。
顔を上げれば、怒り狂ったフェルゼンと目が合った。
燃え滾る赤い瞳。毛羽だった短い髪。
僕を見て、一瞬揺らぐ瞳。閉めるドアは静かだった。
「シュテルか……」