【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 白百合のお茶会メンバーは、ベルンのために結託しているらしかった。社交界の一大派閥、白百合のお茶会から、あくまで『噂』ではあるが、『恭順を示すため、アイスベルクは一切領地から出ない、馬の供出も王家の許しがあるまで止めるつもり』だとリーリエ様が仰った、などと話が広がっている。
 きっとこれを聞いた反アイスベルクはギョッとしているところだろう。
 アイスベルクに隣接する森のモンスターは、今までアイスベルクの騎馬隊が自発的に退治してきた。しかし、今後はそれをしないとなったらどうなるか。
 アイスベルクの騎馬隊の助力が得られない、馬も手に入らない、その意味することを自覚させた。

 兄のエルフェンバイン様は、南の辺境の地へ送られた。アイスベルクから物理的に離して、様子を見るための処置だろう。気難しい上官と荒くれどもが集まる場所だ。
 穏やかなエルフェンバイン様が、そんなところでやっていけるのかと周りは心配していたが、何の不平も漏らさず、それどころか成果を上げているらしかった。その姿だけでも、アイスベルクの信頼は高まる。南部で一個隊の隊長を、そんな声が上がっているが、隊長を引き受ける条件として、ベルンの復帰を要求しているらしい。
 もしかしたら今までの穏やかなエルフェンバイン様は、演技だったのかもしれない。 
 アイスベルグの兄姉は、王都にいなくても恐ろしい。
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