【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
お父様は、私の判断は間違っていなかったと褒めてくださった。
きっと何度あの日をやり直しても、私は同じようにするだろう。お姉様やお兄様に迷惑をかけると知っていても、王都を見捨てることなどできないから。
でも、私のせいで鏡の離宮に橋を架けられるとしたら嫌だなと思う。
仕方がなかったと思う。
何時かはバレたのだきっと。それが早まっただけだ。
ただ、初めてのキスがあんな悲しいキスになるなんて思わなかった。
リリトゥの呪いを解く唯一の方法は、愛する者からのキスだ。リリトゥ以外の者に抱く強い思いが、呪いを解く。
一か八かの賭けだった。
もし本当に、シュテルが私を好きでいてくれたなら、もしかしたらと思ったのだ。
そしてシュテルは目覚めた。
私はそれだけで満足だ。もう会えなくてもいい。
私は唇をそっと撫でた。