【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ザント様もあまりアイスベルクのような地に来ない方がよろしいのでは? 丁度リリトゥの研究もまとまったようですし。あまり、当家の立場は良いものではありませんので、ご迷惑をおかけしてはいけませんわ」
「いえいえお気遣いなく。これでもボクは宮廷では大魔道士という立場でしてね、怖いものなしなんです」
「存じ上げておりましてよ。でも、理由もなくここへ来るほどお暇でもないでしょう?」
「理由? 理由が必要ですか? それならベルンシュタイン嬢の魔法付与についてお尋ねしたい」
ザントが私の手を取った。
リーリエお姉様がザントの手を打ち払う。
「あら、汚らしい虫がいましたの」
オホホホなんて、ワザとらしく笑う。