【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ザントは魔法付与できないの?」
思わず尋ねる。
「あんなふうに簡単にはできないね。呪文詠唱や陣が必要だ」
「そうなのか……」
「ベルンちゃんはどうやって身につけた?」
「うー……ん? 小さいころからできましたね。みんなできると思っていました。でもやって見ようと思ったきっかけは、子供の頃に湖に落ちた時、助けてくれた子が周りの水を温めてくれたからですね。それで、周りを囲んで中を守る魔法の張り方ができるんだと思って、やってみたら出来たというわけです」
「イメージの問題なのか?」
「難しいことは分かりませんが」
ザントは難しそうに眉をしかめた。
「さぁ、ザント様もうここにいる理由はなくなりましたわね」
お姉様が話を打ち切る。