【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「君たちばっかり扇で応援されて、酷いじゃないか!」
「王子様カラーの扇だなんて不敬もいいところだよね?」

 呆れてため息をつく。

「僕と君の緑があったっていいじゃぁないか!」
「よくないです」

 意味わかってるんだろうか。

「やっぱり、ベルンはクールだな」

 ムッと拗ねる姿が可愛らしい。

「扇は置いておいて。剣舞なら一緒に練習する?」
「うん!」
「では、今夜はお務め頑張ってください」

 そう言えば、王子は軽く私を睨んで、手元のフルートグラスを奪い取った。そしてそのまま一気に煽る。

「あっ!」
「クールな騎士様が崩れてるぞ!」

 悪戯っぽくウインクすると、シュテルは喧騒の中に入っていった。
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