【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
高くて厚い木の扉を、震える手のひらで押した。こんなに重いものだと思わなかった。
扉が開く鈍い音が響く。
目の前に広がった光景に息をのんだ。
門の両側には、ずらりと並んだ儀状服に身を包んだ士官学生たち。
皆、外へ出て待っていてくれたのだ。
「おかえりベルン」
フェルゼンが手を伸ばす。
「ベルン先輩、おかえりなさい」
クラウトが笑った。
口々におかえりの声が響く。
熱いものが胸にこみあげてきて、思わず涙がこぼれた。
「ありがとう……!」
許してくれてありがとう。