【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
まったくもー。
私はガックリと肩を落とした。
入れ替わるように、お嬢様方を両手に抱いたフェルゼンがこちらに向かってくるのが見えたから、ジト目で睨みつける。
寄るな! 色男! 視線がこっちに来るんだよ!
私のテレパシーをしっかりと受信した上で、令嬢たちに別れを告げてフェルゼンがやって来た。さらに小さなスイーツを取り、途中でピンクのフルートグラスを二杯受け取ると、一杯を私に手渡した。
「王子様に取られてただろ?」
さらっとこういうことをするのがモテ男の恐いところだ。食べたいと思っていたスイーツまで当然のように差し出してくれる。