【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
エピローグ 光芒の騎士と宵闇の騎士
ここは、レーゲンボーゲン王国。
王都ノイエ・ミルヒシュトラーゼの片隅にある小さな教会で結婚式が執り行われていた。
教会のドアが重々しく開かれ、今日誓いを交わした二人が現れた。
新郎は、この国で光芒の騎士と呼ばれる男、シュテルンヒェン・フォン・クヴェレだ。クヴェレは、臣下に下った王族が賜る名の一つだ。黄金の髪を輝かせ微笑む姿は、名が変わったとしても王者の貫禄は変わらない。スラリとした長身に騎士の儀状服が凛々さを引き立てる。
対する新婦は、宵闇の騎士ベルンシュタイン・フォン・アイスベルクだ。真っ白いドレスに流れ落ちる青い髪は、まるで北国の山脈のように輝く。めったに見られない姿に、人々はため息をついた。彼女はこの国で初めての女騎士だ。女騎士のいなかったこの国に、女騎士団を作る礎を築いた人である。女には閉ざされていた騎士への道を作り上げた彼女へ、憧れの目を向ける少女は多い。
教会の階段の元には、たくさんの人々が、二人を祝うために集まっている。
大勢の騎士たち。青い扇を持ったもの。アイスベルクの騎馬隊らしき顔ぶれも見える。黒髪の凛々しい男は隊長らしい。いつもは勇猛な女騎馬隊も今日は着飾って参列している。