【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 あそこにいるのは、宮廷魔道士のザント・フォン・マルモア。紫紺のローブは大魔道士の証だ。その隣には、この国の王女マレーネ・フォン・ミルヒシュトラーゼ姫が金の長い髪をなびかせて佇んでいる。
 蒼白な顔をしたザントが、マレーネ姫に腕を取られて震えている。エスコート役に緊張しているようだ。

 ベルンシュタインは微笑んで、手に持ったブーケを投げた。
 そのブーケは、マレーネ姫の腕の中に落ちる。

「次は君たちの番だよ!」

 ベルンシュタインの声が響く。マレーネ姫はにっこり笑って、ザントは顔を真っ赤にした。


< 392 / 408 >

この作品をシェア

pagetop