【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 緑の髪のクラウト・フォン・ヴルツェルが、新郎新婦に向かって大きく手を振れば、大きな花びらが舞い散った。それを合図にフラワーシャワーが始まる。

 正装に身を包んだ騎士たちが両脇に分かれ剣を抜いた。キンと打ち鳴らして、剣でアーケードを作っていく。その光輝く剣の中を、今日の主役たちが仲睦ましく歩いていく。

 教会の前に待つ馬車の前まで来て、二人は立ち止まった。
 そこには、真っ赤な髪の大きな男。太陽の騎士と呼ばれるフェルゼン・フォン・ヴルカーンが迎え撃つようにして立ちはだかっていたからだ。

「ベルン!!」

 太陽の騎士が新婦の名前を叫んだ。
 周囲は何事かと驚き、ざわめく。

 フェルゼンは教会の屋根に昇る太陽を指さした。
 ベルンシュタインは、小さく頷くと同じように太陽を指差す。

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