【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「勘弁してくれよ! 俺はお前一筋だぜ?」
にやにやと笑って、肩を抱いてくるからピシリとその手を叩く。
「運命の人を探すのはいいけれど、誰彼構わず口説いてるって誤解されると信用無くすよ」
「まったく、クールな騎士様は手厳しい」
フェルゼンはなぜか苦笑いした。
苦笑いなんかしている場合ではないと私は思う。
チャラさえなければ、フェルゼンはお姉様にすすめてもいいくらいに、いい男なのだ。
惜しい。
シャンデリアの光。軽やかな音楽。さざめきあう笑い声。
豪華絢爛な新年を祝う夜は、だんだんと更けていった。