【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
4.ベルンとフェルゼン
お姉様をタウンハウスに送り届けてから、私は士官学校の寮へ戻った。
部屋ではすでにフェルゼンが部屋着で寛いでいた。
「珍しい。今夜はご令嬢とユックリしないの?」
「さすがに今日は俺でも疲れる」
「たしかにね」
私もぐったりだ。髪を解き、ジャケットを脱ぎ散らかして、ソファーに体を投げ捨てて、だらけきる。
幼年学校から、フェルゼンとはずっと同室だ。唯一、私の事情を知っている彼が、それとなくフォローしてくれるから学校生活が順調でいられるのだ。士官学校のなかで、唯一フェルゼンの前だけが、本当の自分を隠さなくていい場所である。