【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
5.フェルゼン・フォン・ヴルカーン 上(フェルゼン視点)
新年の舞踏会の夜が更けていく。
ギシリ、俺の頭上のベットが揺れる。ベルンが寝返りを打ったのだ。
太陽の騎士フェルゼンなんて呼ばれている俺だけど、実際のところはそんなご立派なもんじゃない。
好きな女一人に告白すらできない、ただのヘタレだ。
俺は二段ベッドの下で、小さくため息をついた。ベッドの二階に好きな女が寝ているのだ。降ってくる気配だけで動揺する小さな心。
俺とベルンが出会った時、俺たちはたったの五歳だった。
まさかあんな子がいるとは思わなかった。あの時の衝撃を今でも忘れない。
きっとあれが、俺の初恋だったのだ。