【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
屋敷について驚いたのは、ベルンシュタイン・フォン・アイスベルクが女の子だということだ。
若葉色のワンピースはシンプルだけれど可愛らしく、先ほどとは見違えた滑らかな青い髪にはレースのリボンまでついていた。
さっきの姿を知らなければ、どこにでもいるお嬢さん。
でも、誰もが恐れるわが父上を、当然のように『可愛い』などと評して、周りの時を止めたのはすっかり参った。
それからのアイスベルクでの生活は楽しかった。父上は狩りに夢中で、俺には構わなかったから、子供たちは子供たちで勝手に遊んだ。
乗馬を教えてくれたのは、主にベルンの兄上、エルフェンバイン様と馬丁だった。ベルンはそれに付き合って、一緒に草原をかけた。
馬上から見る景色は高い。今まで知らなかったもので、急に世界が開けた気がした。
ベルンと羊追いを眺めたり、森の中を探検したり、領民の子供と一緒に遊んだりした。
何もかも王都では体験したことがなかったらか、すべてが新鮮で楽しくもあり怖くもあった。