【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 夜には星の瞬きを聞いて眠り、朝には鳥の囀りで目覚める。
 そんな日々は初めてで、父上が毎年ここへ来るのに納得した。
 我が家の領地は鉄鋼と温泉が有名だ。だから、自然の中にありながら賑やかなのだと聞いている。
 きっと父上は、こんな何気ない空気が欲しくなるんだろう。そう思った。


 朝食をみんなで揃って摂ってから、ベルンと二人で湖へ遊びに行った。お供にコリーのオブリがついてくる。
 汚れてもいい格好で、短剣と作りかけのブーメランを腰に挿し、俺達は走り出した。
 遊び仲間の最年長ウォルフがブーメランの作り方をみんなに教えているから、混ぜてもらっているのだ。ウォルフは子供たちのリーダー的な存在で、俺たちより三つ年上だ。
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