【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
6.フェルゼン・フォン・ヴルカーン 下(フェルゼン視点)
気が付いたらベッドにいた。
温かい部屋。父上が顔を覗きこんだ。ホッとしたように顔を歪める。
「ベルンは?」
「まだ寝ているよ」
言葉少なく答える父上。
訊きたいことはいっぱいあった。あれからどうなったのかだとか、誰か怪我はしてないだろうかだとか。でも、父上の顔を見たら何も訊けなくなってしまった。
俺は布団を握りしめ、目をそらした。自然と丁寧になる言葉。