【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「すみませんでした」
父上は無言だ。
「軽率だったと反省しています」
貴族として本当に軽率だったと思う。自分自身は周りの子供と同じだと思っていても、巻き起す影響力は望まないものであったにしろ、違うのだ。
アイスベルク領で、ヴルカーン侯爵の息子が死んだとなったら。周りにはアイスベルクの者しかいなかったとしたら。
子供だとしても、事故だとしても、それはきっと大きな事件になりかねない。
父上は俺の頭に乱暴に手を置いた。
「みな無事だ」
「みんな、無事だったんですね」
「ああ」
ホッとして涙が一粒零れた。
「分かればいい」
父上はそう言った。それ以上は責めなかった。もっと怒られると思っていたから、それが堪えた。