【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
暫くしてベルンの目が覚めたと知らせが来た。
俺は慌ててベルンの部屋に向かった。
当然、中にはアイスベルク侯爵がいた。
ベルンは体を起こして、顔を真っ赤にして唇を噛んでいる。
「良いところに来た。フェルゼン、君も座りなさい」
優し気なアイスベルク伯爵が、俺を見つめた。
「フェルゼンは!」
ベルンが声をあげれば、アイスベルク侯爵は凛とした声で制す。
「ベルン、まだお前に話す権利を与えていない。黙りなさい」
ベルンが弾かれたように身体を硬直させた。
ビクリと俺の体も強張った。父上以上の威圧を感じる。いつも優しい穏やかな人だからこそ、ピリピリとした空気が痛かった。
初めて侯爵を怖い人だと思った。