新米魔女はお嬢様!
入学しますわ!
″あなたはXXXX年度の入学試験に合格しましたので
通知いたします。″
世界でも五本の指に入る大富豪、シャミナード家。
その本家の人々が住む超豪邸の一室。
豪華絢爛な品々に囲まれた少女が、狂ったように高笑いをしていた!
「おーーーっほっほっほ!!!!」
その名はアナベル・シャミナード!!
シャミナード家の末裔にしてナンバーワンの美貌と欲の持ち主である!
その勢いに、すぐそばに大人しく控えていた執事が目を見開いた。
「お、お嬢さま? また地面に落ちてるものでも食べましたか?」
「違いますわ! 魔法学校に合格しましたのよ!!」
同い年だからか色々と容赦がない!
アナベルは憮然として言い返しながら、つい今しがた読んでいた一枚の紙を、執事の眼前へと突きつける。
そこにはアナベルの合格を通知する文章と、
″ミトラル魔法学院″
という学校名が記されていた!
「えええええ!?」
執事はさらに目を剥いた!
「受験したのは近所のお嬢様学校じゃなかったんですか!? しかもまさかのミトラルじゃないですか!」
「あらやだ執事ったら! あんなのは冗談でしてよ! この私が文学やら数学やらの枠に収まるような女だとお思い!?」
「だからってミトラルは無いでしょーがミトラルはーーーッ!?!?」
ミトラル魔法学院とは。
授業の質が高くウン千年の歴史を持つ上に、各方位へのコネがハンパなく存在する学校である!
しかしその分カリキュラムの内容は魔法学に傾倒しており、通常の学校で学べる分野はほぼほぼ無いと言ってよい!
もちろん高校卒業の資格は取れない!
まさに諸刃の刃!!
そしてアナベルは大富豪の娘!
一生働かずに父や夫に養われるべき立場の彼女には、魔法を学ぶメリットは特にない!
まさにドブに金を捨てる行為!!
「入学を辞退しましょう!」
「今ごろメイドが学校の口座に入学金をぶち込んでいるところですわ!!」
「用意周到すぎる!!」
即断即決!!
傍若無人!!
ゴーイングマイウェイ!!
これがアナベル・シャミナードである!!
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