新米魔女はお嬢様!
バトりますわ!
やられますわ!
❅❅❅
「んんんんぉぉぉおおああ゛あ゛!!!!」
「お嬢さま呪文の発音が違います!」
「発音してるように聞こえますの!!?」
ミトラル魔法学院、一時間目。
爽やかな朝の空に、魔法練習中のアナベルと執事の叫びがこだまする。
超初級魔法、浮遊術。
文字通り物を浮かせる魔法である。
呪文を唱えるだけで重い荷物を運んだり、邪魔なものを退けたりなど、生活が豊かになること間違いなし。極めれば車や建物、生物、自分自身まで浮かばせることができる!
その手軽さから、クラスメイトのほとんどは、授業の前半のうちにこの魔法をマスターしていた。
が。
アナベルには魔法の才能が皆無なのだった!!
「хахаха!!」
そんなアナベルと執事の前に、何やら白っぽい人影が立ち塞がった!
白銀色の短髪に碧眼、すらりとした長身。白基調のセーラー服。
ロシアの有名貴族の娘、ジーナ・イヴァノヴナ・ジュラフスカヤである!!
その美貌と学年一の成績で、早くも学校中の色んな視線を独り占めしているのだ!
「こんな簡単な魔法もできないなんて! シャミナード家も大したことないんじゃなーい?」
「はああぁぁあ!? ナメ腐ってんじゃねーですわーーー!!」
分かりやすい煽りにブチ切れるアナベル!!
「えー、本当のことを言ってるだけなんだけど? ああもしかして言葉が分からなかったのかなぁ? 赤ちゃん言葉には詳しくないんだよ、ごめんね?」
ジーナは更に追い打ちをかける!!
「キーーーーーーッッッ!!!!」
「お嬢さま、落ち着いてください。ハンカチは噛むものじゃありません」
「勝負ですわーーーー!!!!」
「お嬢さま!?」
「良いじゃないか。わざわざ負けに来るなんて相当なマゾヒストなんだね?」
「ちょっ……」
「バチボコに負かしますわーーーー!!!!」
「お嬢さま!?!?」
ものすごいスピード感で魔法勝負を取り付けたアナベル!
今、戦いの火蓋が切って落とされた!!
他のクラスメイトや先生は既に金を賭けはじめている!!