新米魔女はお嬢様!

+++

「執事はね。私が呼べば、どんな時でも絶対2秒以内に駆けつけますの――たとえ、どれだけ離れていようともね!!」


「ギャアアアアア゛あ゛ぁ゛!?!?」

玲玲は年頃の女子とは思えない悲鳴を上げ、アナベルの後方へと空中宙返りをキメた!!

「……なっ……何を 蠢事(バカ)なこと言ってるアル!?」

咄嗟に受け身をとり、アナベルの足元に頭を向けた綺麗な大の字ポーズで地面に転がった玲玲。若干目をまわしながらもなんとか反論する!

当たり前である。執事がいる教室からこの屋上までは全力疾走しても数分はかかる。そもそも、先程の会話やアナベルの言葉が執事に聞こえるわけがない。
それに――

(それに、ヤツは今……)

屋上の出口――教室に繋がる方向へ、無意識に視線を向ける玲玲!
その様子を横目で見て、アナベルは玲玲の方へと体を向ける。

「……やっぱり、執事に何かしましたのね」

そう呟いた声は低く、(かんばせ)に表情はない。

――アナベル、人生3回目のマジギレである!!

「っう……」

不覚にも息を飲む玲玲!


そのわずか1秒にも満たない時間のうちに、アナベルは教室へと猛ダッシュしていた!!
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