無気力な一匹オオカミ男子に懐かれました。
――ガラガラッ。


保健室のドアを開けると、中はシンとしていて誰もいないようだった。


「し、失礼しまーす」


念のため一声かけてから中に入る。


先生は今不在なのかな?


「えっと、じゃあ蓮水くんはここに座ってね」


とりあえず彼をそばにあった回転イスの上に座らせ、消毒液や絆創膏を探す。


蓮水くんはそんな私を不思議そうな顔で見つめながら、ボソッと口にした。


「べつに手当てなんてよかったのに」


「でも、私のせいでケガさせちゃったようなものだから……。はい、腕出して」


そう言って消毒液に浸したコットンをピンセットでつまみ、彼の傷口に当てる。


「いっ……」


そしたらその瞬間、蓮水くんは顔をゆがめ、小さく声を漏らした。



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