無気力な一匹オオカミ男子に懐かれました。
仕方なくって……。


なんとも蓮水くんらしいセリフに、思わずちょっとだけ笑ってしまいそうになる。


でも、とりあえずやる気になってくれたのならいいか。


カバンから筆記用具を取り出し、問題を解き始めた蓮水くんを、隣でじっと見守る。


なんだかこうして彼の隣に座っていると、不思議な感じがするなぁ。


まさか、昨日に引き続きこんなふうに蓮水くんと縁があるとは思わなかった。


「あ、そういえば、体育の時はジュースどうもありがとうね」


ふと、思い出したように蓮水くんに声をかける。


「あぁ、あれね。もう飲んだ?」


「それが、なんとなくもったいなくて、まだ飲んではいないんだけど……」


そう。冷やすために使わせてもらっただけで、結局飲まなかったんだよね、私。


まだカバンの中に入ってるけど、もうぬるくなっちゃったかな。



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