ロマンティシズム
 コーヒー党だとか柿の種が好きだとか、栞代わりに本になんでも挟んじゃうとか、机の上のケータイの定位置とか最近変えたタバコの銘柄とかカバンの中の万年筆の場所だとかシャーペン嫌いの鉛筆好きだとか。


 しかしそれがなんだと言うのか。
知識の量で愛されるなんて、単純なものでは全然ない。


 他の女。

『女』と思われているならまだいいのかもしれない話だ。

学生だ。ただの学生なのだ。
だから基本パシリで。

そういう風に使われても問題はなく、つまりなんの否定材料にもならない。

 彼女の好きそなクリスマスケーキを予約しておく。
そんな甘い瀬戸を、自分は知らないだけなのかもしれない。

 カップル多しのどつぼの中で、雪野は暗黒のため息をつく。


 そんなの、ヤダ……

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