ロマンティシズム
 辺りを見回してみた。
意識しないで爪先立っている。

でも、どれだけ首を伸ばしたところで、瀬戸の姿は見つかりそうもない。

身長があるので、比較的見つけやすい相手ではあるのだが、いないものはいないのだ。

「スタンダードなのはショコラですけれど……」

 オネエサンの困惑の声を頭の上に、雪野は五つのケーキを見比べてみた。

ここは無難なショコラだろうか。

けれどしかし……、勝手に決めていいとは思えない。


「すみません、連絡取ってみます。次の方を、お先にどうぞ」
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