ロマンティシズム
 人気のケーキに対して不届き千万。

さらにすまない気持ちに包まれながら、雪野は取り出した携帯電話で、発信を開始する。

必要ですから、などと呟いて。

なんとか教えてもらった電番もアドレスも、よほどの用事でないと叱られる。

でも今は本当に、切羽詰っているんですよ、と。

 地下だけれど、電波の状態は良い。言い訳をくり返しながら、待つこと六コール。


『はい』


 出た。
やった。

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