ロマンティシズム
 ダメでしょう。
雪野は息を吸い込む。

「そうはいかないですよ。せっかくなんだから先生の好きな味じゃなきゃ。あ、あとはクランベリーとキャラメルビターとハニーピスタチオだ。どれにしてみます?」

『どれだっていいって』

 顔を上げたのは視線を感じたからだろうか。

オネエサンと目が合ったので、うなずいて見せる。

ハイ、繋がりました。
ハイ、今返事をもらいます。

の、意を込めて。

「どれでも良くないです。ダメですよ、せっかくお店が五つも用意してくださっているというのに、しかもまだ五つ全部がそろっているんですよ。遅くに来た人は余りものなんですよ。せっかく早く来ているんだから、選べるんだから選ばなきゃダメです」
< 25 / 77 >

この作品をシェア

pagetop