ロマンティシズム
 と、言ってみたならフラッシュバック。
雪野の頭に、再びさっきのマイナスイメージが浮かび上がった。

美しいけれど哀しい(自分には)。恋人たちの画像。


「やっぱり、パーティ、なんだ」

 ぼそりと呟く。

 ゼミの学生共とアホみたいな一騒ぎ。

そんな子どもっぽいイベントに参加するよりも、もちろん、ワインと高級なケーキで迎えるイヴのほうが、いい男らしくていいとは思う。

素敵シチュエイション。だけど。


 訊いてしまえばいいのでしょう。

 そうすればきっと、楽になる。

どちらの方向に転んだとしても、こんな不安定な山頂に立って、ふらふらしているよりはいい。
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