ロマンティシズム

 流れ続ける、いいかげん音も割れてきたジングルベル。

相変わらずの人波の中、ただ前へ前へと進む足。

深刻な暗黒思想に自然に俯いた雪野は、そんな自分の足を見て、ん、と瀬戸の足にも気付いた。


 せっかく。

 並んで歩いているのに、なんだってこんな悪いことばかりを思うのか。

せっかくのクリスマス、せっかくの機会、周囲のこれでもかの幸せオーラを吸い取るくらいの勢いで、幸せじゃなきゃダメでしょう。
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