ロマンティシズム
「えぇまぁ。粗忽者ですから」
「それ、漢字で書けるか?」
「書けません。先生は?」
「俺はいいんだよ。粗忽じゃないから」
書けないんですね。
などと言えようものではない。
階段の途中から、もう賑わいが聞こえた。
小谷教室にはすでに大量の人間が集っているらしい気配が、弱い電気に薄暗い廊下を滑って伝わってくる。
大学一古いこの建物は、採光だの音響だのが独特だ。
そんなものにまで旧さを感じさせる。
大量。
学生なんて、そんな扱いでいいですから。
「それ、漢字で書けるか?」
「書けません。先生は?」
「俺はいいんだよ。粗忽じゃないから」
書けないんですね。
などと言えようものではない。
階段の途中から、もう賑わいが聞こえた。
小谷教室にはすでに大量の人間が集っているらしい気配が、弱い電気に薄暗い廊下を滑って伝わってくる。
大学一古いこの建物は、採光だの音響だのが独特だ。
そんなものにまで旧さを感じさせる。
大量。
学生なんて、そんな扱いでいいですから。