ロマンティシズム
「したよ。買い物。すごいした。ほーら」

 と、両手に提げたバッグを見せる。
右手の位置が低いのは、ワインがそちらの手にあるからだ。

「つかキミ、一緒に来たの? 先生と。どこで待ち伏せしてたのよ」

「待ち伏せじゃないもん」

 日和の言葉にムッとして言い返す。

しかし相手は一切ダメージを受けた様子もなく、笑いながら、

「じゃ、張り込みだ。ガッコのパーティに参加しない瀬戸センセイが、クリスマスイヴにどこへと消えるのか。気になってしょうがなくて張り付いてたんでしょう」

「張り付きません。て言うか」
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