ロマンティシズム
「黄昏の学生ですよ……」

「あぁ、ねぇ」

 すかさず日和が相づちに肯く。

自分だって同じ年のくせに、雪野を追い詰めるためなら、黄昏仲間に分類されるも厭わないのであった。

もし握っていたら、鉛筆くらいはへし折っていたかもしれない。

怒りのパワーを拳に込めて、雪野はぎゅ、と握りしめた。

いつか仕返しの機会がくるまで、これは大切に取っておく。


「君なら居るだけでストッパーになる、とかね」

 いつの間にか日向が、瀬戸の側に移動している。

秘書よろしく恭しくも、荷物の袋を預かった。

「その存在感が欲しいとかねぇ」
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