ロマンティシズム
 そう言ったのは、日和。
いつの間にかにも程がある。

雪野は思わず横を見た。

ここ。ここに居た日和は?

 もちろん日和は一人しかいない。

日向以上に慇懃な所作で、センセイのコートを預かっている、それが本体。

 あ、いいな。と、離れた場所で、雪野は指をくわえて見る羽目になっていた。


「自分は遊びに出かけといてよく言うよな。いいご身分だ」

「教授ですから」

「あぁそうだとも。そこ、注文通りか確かめな」

「ありがとうございます~」

 一番上等のケーキにございます~。
と、二人は声を揃えて、頭を下げた。

何ごっこを始めたものか。二人はいつも連動している。
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