ロマンティシズム
 ……でもやっぱり、特別な幸せだったのかもしれない。

詐欺だろうと擬似だろうと、三十分ほどのことにしても、デートっぽいことをしたわけだから。

一緒にケーキとワインを選んで、車に積んで、帰りましょう。


 ふだん見られない先生をたくさん見た。

なかなか許可の下りないお車にも乗れたし。


 ちょっと私……幸せなのかも、……もしかして。

もしかして、舞い上がっていいのかも。

だって。


 運命みたいに出会ったじゃない――



「雪野」
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