ロマンティシズム
 幸せの視界は突如遮られた。

眼前に現われた日和の顔に、雪野は間の抜けた返事をする。

「はいぃ?」

「あんた罰として、酒注ぎの刑。参加者全員のグラスが空になることないように監視する係。ね」

「えええっ? 何人いると思って、て言うか、なにその係っ。そんなの聞いたことないよ」

「だって今まではパーティサボって逃げようとしたヤツなんていなかったもん。だから今考えた」

 日和の反抗許さぬ強い調子に、雪野は言い返す言葉を見つけられなかった。

分は悪い。明らかに悪い。

サボったことは事実だから。
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