ロマンティシズム
 二時間ほどが過ぎた頃、夢の底を漂う雪野に誰かがコートをかけてくれ、そしてその手は髪に触れて去った。

誰? 

ほんの一瞬、けれど確かに。
それは優しく触れたのだ。


 もちろん雪野はその現実を、さっさと夢に取り込んで、幸せのストーリィに変換している。

しかし現実には、――誰でしょう?


 日和がお姉さん愛で、日向が実は片恋心を? 他にも容疑者ならば十数人もいらっしゃる。

パーティ参加者全員に、それを行うチャンスはあった。

被害者が、夢にみている彼にだって。
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